【短編】白雪
雅人Side



雪奈が首を横に振るのを見て、ホッとした。

雪奈のその仕草があまりに必死で、その答えが嘘じゃないって分かったから。


でも、じゃあ何なんだ?

なんで何も言わないんだ?



「雪「あっ!あたしね?ドラマ出ることになったの!!」


雪奈は俺の言葉を遮るように言った。

抱き締めていた腕をすり抜けて、雪奈は俺に体ごと向く。



「すごいでしょ?」


そう言って満面の笑顔を俺に向ける。



「…まじ?」

「うんっ」



雪奈は本当に嬉しそうで、俺も嬉しかった。



「よかったな」


もう一度、雪奈を抱き締める。



「ありがと」


雪奈も俺の背中に手をまわして抱き締め返した。



でも、俺はちゃんと聞きたい。


雪奈がどんなに話を逸らしても、雪奈の気持ちを知りたかった。



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