【短編】白雪
*キス* 雪奈
あたしの手を引いて、マンションを飛び出す雅人。
外は真っ暗で、上にはキラキラ輝く星空が広がっている。
でも、キレイだなぁ…なんて考えてる場合じゃない。
「ちょっ!雅人!!!」
あたしは雅人の動きに黙ってついて行っていた足を踏ん張って止めた。
雅人は、何?という顔であたしを見る。
「なっ、何考えてるのよ!?」
「何って?」
「このカッコ!!!」
あたしと雅人は部屋に居た時の格好のまま。
雅人は黒い長袖シャツにジーンズ。
あたしは短めのワンピースに、慌てて着た、玄関の所に掛けてあった白いコート。
二人とも帽子、サングラス無し。
つまり……―――
「バレちゃうじゃないのーーー!!!」
変装もしないで外歩くなんてッ!!!
さっきから周りの人からの視線が微妙にイタいんですけど!!!