【短編】白雪
もうツリーは飾り付けが施されていて、イルミネーションでキラキラ光って少し眩しかった。
手を握ったまま、あたしに背中を向けて雅人は立っている。
「…雅人?…っきゃ!!」
首を傾げると、急に変わる視界。
瞑っていた目を開けると、目の前は真っ黒で。
雅人のシャツだと分かるのに、そう時間はかからなかった。
「え?何ー?」
「わぁっ!大胆」
耳に入ってくる声に、恥ずかしくて身体を離そうとすると、さらに力の強まる腕。
それに比例するように、大きくなる周りのどよめき。
「ちょっ、雅人!…あっ」
大きな声で呼んでしまった雅人の名前に、慌てて口許を押さえても後のまつりで。
「えっ?雅人?」
「あっ!そう言えば似てるっ!!」
「本人?」
「うそっ!!!」
「あの女誰!?」
あっと言う間に、高く小さな女の人の悲鳴が広がる。