【短編】白雪
「バカだな」
真顔で言わないでほしい。
「雅人が悪いんじゃない!どうするの!?バレちゃったよ~!!」
「いんじゃね?俺達付き合ってますって言えば」
焦りまくるあたしとは対照的に、落ち着いた様子で雅人は言う。
あんなに隠してたのに、バレたらあっさりしすぎでしょ?
って、あたしもバラしたがってたのにこの焦りようだから、人のこと言えないんだけど。
「いいかげん離してよ」
いつまでも抱き締めたままの雅人の胸をそう言って押す。
でも雅人は、ピクリとも動かないで言った。
「まだ目的果たしてない」