【短編】白雪
目的?
「それって何…――んっ」
首を傾げたあたしに降ってきたのは、雅人の柔らかな唇。
一瞬、周りのざわめきが消えた気がした。
唇をゆっくりと離して、雅人はあたしを見つめた。
「これで俺と結婚出来るじゃん」
唇の端をあげて、雅人が言う。
「………えっ?」
言ってる意味が分からなくて、間抜けな声を出す。
「だから、このツリーの下でキスすればその相手と結ばれるんだろ?なら俺とキスしたんだから俺と結ばれるじゃん」
雅人がニコニコと笑いながら説明する。
って…え?
じゃあ……
「これする為に、わざわざあたし達の関係バラしたの?」
嘘…
「不安だったんだろ?」
それって…
「俺以外と結婚したらって」
まるで……
「心配しなくても」
まるで………
「俺は雪奈を他の奴に渡す気ないから」
「まるで………すごく遠回しなプロポーズみたいじゃない」