愛より青し
2
最終電車を待つ駅のホームは、いつものように混み合っていた。
どの列もホームの端まで達していて、どこに並んでも並んでいないのと同じだった。
乗車ルールを守るなんて行為を諦めたアマネは、電車が来るまで歩き続けることにした。
電車が流れ込んできて扉が開いたら、その時一番近い場所で乗り込もう。
もしも今、立ち止まったりしたら、また体が震えだすに違いなかった。無条件に自分の意志とは関係なく、目の前の現象を信じることを拒否したいという感情が、あれほどまでに体を揺り動かすということを今日までアマネは知らなかった。涙が出る前に、頭が悲しいと思う前に、体が揺れだした。まるで地震から家を守る免震装置のように、体が心を切り離して揺れているかのようだった。
しかし次に揺れた時には、今度は心ごと揺れだすに違いない。
ごった返すホームにわざと一本の線を描くかのように、ぶつかりぶつかりしながら歩くアマネは、酔っていない方の55パーセントの意識の中で、そんな風に考えていた。
どの列もホームの端まで達していて、どこに並んでも並んでいないのと同じだった。
乗車ルールを守るなんて行為を諦めたアマネは、電車が来るまで歩き続けることにした。
電車が流れ込んできて扉が開いたら、その時一番近い場所で乗り込もう。
もしも今、立ち止まったりしたら、また体が震えだすに違いなかった。無条件に自分の意志とは関係なく、目の前の現象を信じることを拒否したいという感情が、あれほどまでに体を揺り動かすということを今日までアマネは知らなかった。涙が出る前に、頭が悲しいと思う前に、体が揺れだした。まるで地震から家を守る免震装置のように、体が心を切り離して揺れているかのようだった。
しかし次に揺れた時には、今度は心ごと揺れだすに違いない。
ごった返すホームにわざと一本の線を描くかのように、ぶつかりぶつかりしながら歩くアマネは、酔っていない方の55パーセントの意識の中で、そんな風に考えていた。