僕はいつでもキミの傍に
27 楠 綾子

ガチャリと玄関の扉を開くと、そこにはスーツ姿の近藤さんが立っていた。

「こんにちは、綾子ちゃん。今、ご家族は?」

「両親は今買い物に出てますけど……何かご用ですか?」

そう言ってニッコリと笑みを返すと、近藤さんは窺うように家の中を見回した。

「霧島修司が今どこに居るのか知らないかな?」

「修司さんの居場所……ですか?」

そう言って鋭い瞳をして私を見つめる近藤さんに首を傾げて見せる。

そっと彼の後ろを覗くと、家の前に黒い車が止まっていて、その助手席に古川さんが座っている姿が見えた。

ほんの一瞬古川さんと目が合い、それから逃れる様に近藤さんを玄関へと招き入れ扉を閉めた。
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