僕はいつでもキミの傍に

「《レン》に会った事。これは誰にも言っていない。僕だけしか知らない真実だ」

彼はそう言うと、私に向かってそっと何かを差し出した。

それは……ハンカチだった。

綺麗にアイロンの掛けられた真っ白なハンカチ。

「僕はね……真実が知りたいんだ」

そう言って彼は私の手を取りそっとハンカチを握らせると、困った様に笑った。

「……そして君は真実を知っている」

彼はそれだけ言うと、静かに外へと出て行った。
< 120 / 289 >

この作品をシェア

pagetop