僕はいつでもキミの傍に
「……わかった。今から行く」
彼はそれだけ言うと電話を切り、小さくため息を吐いた。
「……どこか……行くの?」
その私の問いに彼はコクリと頷くと、とても真剣な顔をして私を見つめた。
「いいか、お前はここに居ろ。誰が来ても扉は開けず、絶対に外に出るな。分かったな?」
「……う、うん」
訳も分からないまま彼に頷いて返すと、彼はニヤリと笑ってポンポンと私の頭を撫でた。
「心配すんな。すぐ戻って来る」
彼はそれだけ言うとソファーに掛けてあった灰色のジャンパーを羽織り、足早に部屋を出て行った。
一人ポツンと残された寂しい部屋で、カチカチと時計が時を刻む音を聞いたまま……とても不穏で嫌な予感がした。