僕はいつでもキミの傍に
綾子と別れた交差路まで走った時だった。
「……おいっ!」
急に強い力で腕を引き寄せられる。
……さっきの灰色の男だった。
「いやぁああああ!!」
想像を超える恐怖に、狂ったように叫びながら腕を振り解こうとする。
しかし男の力は強く、決して腕を放そうとしない。
「放して!放して!!人殺し!!誰か!!」
「……ちょ……落ち着けって!俺は……」
男は泣き叫ぶ私の姿に驚いた様に眉を顰めた。
「あんた!何をやってるの!!」
急に誰かの声が聞こえ視線を移すと、一人のおばさんが立っていた。
「……チッ」
男はおばさんの姿を見て小さく舌打ちをすると、掴んでいた手を放しそのまま走り出した。
「待ちなさい!!」
おばさんが必死に叫ぶが、逃げた男の足は速くすぐに見えなくなった。