僕はいつでもキミの傍に
30 近藤 健一
コツコツと靴がコンクリートの地面を叩く音が反響する。
薄暗い寂れた廃ビルの中は荒れ果て、空気すらも淀んでいる気がした。
……こんな所にノコノコ来るなんて、なんと馬鹿なんだろうか。
心の中でそんな事を思いながら少し自嘲気味に笑うと、ガラスの嵌められていない窓からそっと空を見上げた。
漆黒の空には少し欠けた月が悲しそうに揺らぎ、それは俺の心を酷くざわめかせる。