僕はいつでもキミの傍に
31 鈴村 誠

「くっそ!来ねェ!!」

腕時計のデジタル時計は《20:45》を示している。

約束だった八時を大幅に超えているが、《奴》が姿を現す気配はなかった。

……最悪だ。

……完璧、騙された。

コンクリートの階段に座り、苛立ったように貧乏揺すりを続けながら、バリバリと乱暴に頭を掻いた。

……やっぱり、柏木瑞穂が心配だ。

……一旦、事務所に戻って……

そんな事を考え立ち上がったその時……どこからか甲高いサイレンの音が聞こえてきた。
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