僕はいつでもキミの傍に

「楠……綾子」

そう彼女の名を呼ぶと、彼女はボロボロと涙を零したまま、そっと俺を見た。

「早くしないと死んじゃう!!救急車は!?」

彼女は取り乱したように近藤さんの傷口を押さえながら叫ぶと、唇を噛み締めたままカタカタと細い肩を震わせていた。

何かに怯える様に涙を流す彼女の腕には、何かで斬られた様な傷があり、そこから真っ赤な血が流れ落ちている。
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