僕はいつでもキミの傍に

「……柏木瑞穂とは……どうやって出会った?」

その問いに彼は何かを思い出す様に少し遠くを見つめて小さく口を開く。

「瑞穂と再会したのは……ホントに偶然だったんです。俺も普通の生活に大分慣れて……普通の高校生だった。そんな時、道で財布を拾ったんです」

彼は彼女との思い出を語りながら、微かに笑みを浮かべた。

「交番に届けに行ったら……そこに蒼い顔して慌てている彼女がいて。俺の手にした財布を見た瞬間『コレです!』って眩しい笑顔で笑ったんです」

彼は愛しそうに彼女との過去を語り続ける。

「警察の人が名前を確認する為に彼女の名前を聞いたんです。彼女の口にした名前に驚きました。……だってそれは俺がずっと探していた人の名前なんですか ら」

そう言って彼は困った様に笑うと、それから静かに俯いた。

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