僕はいつでもキミの傍に
33 霧島 修司

目の前の刑事達は皆少し悲しそうに表情を曇らせ、涙を流す俺の姿を見つめている。

……これでいい。

……これで全てが終わる。

心の中で小さく呟き……そして微かに笑った。

……これで俺は『二人』を守る事が出来た。

……俺の命よりも大事な……大切な人。

後悔は一つもない。

『二人』を守れたというその事実だけで、俺はもういつ死んでも構わなかった。


……でも、『瑞穂』は泣いているだろうか。

今頃あの円らな瞳いっぱいに涙を浮かべているに違いない。

その愛しい『彼女』の姿を想像し、小さく胸が痛む。

無垢で優しく泣き虫な……何も知らない可愛い天使。


……でも、俺がいなくても大丈夫。

『彼女』の傍には『彼』がいる。

誰よりも『彼女』に近く……誰よりも『彼女』の傍に。



……なぁそうだろう?





「……レン」

涙を流したまま小さく『彼』の名を呼ぶと、刑事達が少し不思議そうに俺を見つめた。
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