僕はいつでもキミの傍に

「もう……止めて」

彼女は涙を流しながら、目の前の彼に向かって震えた声で語りかける。

「……綾子」

彼の唇が微かに震え、彼女の名を呼んだ。

彼は彼女を傷付けた事に動揺するかのように一歩後ずさると、彼の手からナイフが零れ落ちる。

カランと悲しい音を立てて、ナイフがコンクリートの床に転がった。
< 171 / 289 >

この作品をシェア

pagetop