僕はいつでもキミの傍に
39 楠 綾子
白く清潔な廊下を真っ直ぐに進んでいく。
隣を歩く古川さんは少し表情を曇らせながら、何も言わないまま私の横を歩き続ける。
「ここだ」
そう言って彼は立ち止ると、クリーム色の扉を指差した。
壁に掛けられている小さなプレートに《近藤健一》と書かれているのが見える。
……そう、ここは彼の入院している病室。
一向に話をしない私に痺れを切らし、《近藤さんと話したい》と言う私の願いを古川さんは受け入れた。
こうして今、私は彼の病室の前に居る。
コンコンとノックをすると、部屋の中から『どうぞ』と声が聞こえた。