僕はいつでもキミの傍に
現場から少し離れた所にある二階建てのアパート。
『203』と書かれた部屋のインターホンを鳴らすと「はい」と小さく返事か返ってきた。
「……どちらさまですか?」
ドア越しに若い男の声が聞こえる。
「あ、すみません警察ですが……柏木瑞穂さんはこちらに……」
全てを答え終わる前に扉がゆっくりと開かれた。
扉を開けた先には一人の青年が立っている。
少し色素の薄い茶色の髪に高い身長。そして人形の様に整った顔。
……同じ男でも思わず見惚れるほどの好青年だ。
彼は一通り窺う様に俺と古川さんを見ると「どうぞ」と部屋に招き入れてくれた。
「……失礼します」
そう言って靴を脱ぎ玄関に上がる。
玄関にはスニーカーに革靴、それと女物のサンダルが置いてある。
彼に案内されるまま部屋に入ると、二人の少女の姿が目に入った。
一人はサラサラの黒髪を肩まで伸ばしている制服姿の女の子。
彼女は床に座り俯いたままポロポロと涙を流している。
もう一人は茶色に染めたフワフワの長い髪の女の子。
彼女は女の子らしい水色のワンピースを着ていて、泣き続ける少女を心配そうに宥めていた。