僕はいつでもキミの傍に

不意に……一人の男と目があった。

カメラを片手にした男が真っ直ぐに私を見つめている。

その目は何かに驚いた様に見開かれ……それからすぐに険しい顔になる。

『……見られてしまったのかな』

また自分の口から声が漏れ出し、小さく息を吐いた。

そっと視線を落とすと私の履いている白い靴が、お父さんの血で真っ赤に染まっていく。

「……綺麗」

そう呟いて微笑むと、私の頬を一筋だけ涙が伝っていった。

< 200 / 289 >

この作品をシェア

pagetop