僕はいつでもキミの傍に

「それは違うな。苦しみから逃れて生きる事なんて出来るわけがない。人は生きていれば大小なりとも必ず辛い目に遭うし、悲しい思いも苦しい思いもするもんだろ?例えこのまま俺がお前を見逃したとしても、また柏木瑞穂を傷付ける奴が必ず現れる」

俺のその言葉にレンはビクリと身を強張らせ、グッと強く拳を握りしめた。

「そうしたらまたお前は殺すのか?柏木瑞穂を傷付ける全てのモノを」

そう言って真っ直ぐにレンを見つめると、レンは俯いたまま更に強く拳を握りしめた。

「何度も何度もお前は柏木瑞穂の為に手を汚し、彼女が死ぬまで一生、そうやって共に生きていくつもりなのか?」

「それが僕の生まれた理由だから……」

「本当に?本当にそれでいいのか?」

俺のその問いにレンは勢いよく顔を上げ、鋭い瞳で俺を見つめた。
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