僕はいつでもキミの傍に
「……その灰色の男は知らない男なんだよね?どこかで会っていたりとかはないかな?」
その問い掛けに彼女は首を横に振った。
「年齢は分かるかな?背格好は?」
「……よく、覚えてないんですけど……若かった様な気がします。背は多分高めだったかも。……ごめんなさい……自信無いです」
そう言って彼女は申し訳なさそうに俯いてしまった。
……これ以上は彼女の負担になってしまうかもしれない。
「そっか……辛いのによく話してくれたね。とりあえず今日はこれで帰るけど……また話を聞きに来てもいいかな?」
「……刑事さん」
彼女の呼びかけに小さく首を傾げる。
「……絶対犯人を捕まえてください。……お母さんを殺した犯人を絶対に許せない」
そう言って彼女はまるで宝石の様な大粒の涙を流した。
それを見ていた霧島君、楠さん……そして何故か古川さんが神妙な顔をして俯いた。
「約束するよ。僕が必ず犯人を捕まえてみせる。だから瑞穂ちゃんは少し休んでいて」
その言葉に納得したのか、彼女は小さく頷くと微かに微笑んだ。
……強い子だな。
「帰るぞ……近藤」
古川さんはそう言うとスタスタと玄関に向かって行ってしまう。
……いつもだったらしつこ過ぎるぐらいの事情聴取の鬼なのに。
「じゃあ……また」
そう言って三人に軽く会釈をすると、慌てて古川さんの後を追った。