僕はいつでもキミの傍に
3 古川 義之
「そう……アイツ死んだの」
その言葉と共にタバコの煙を吐き出しながら女は顔を背けた。
タバコの煙をもろに顔に被った近藤が少し嫌そうな顔をして一歩後ずさる。
明るい茶色の少し痛んだ髪の女は、不機嫌そうに大きな溜息を吐いた。
木造の寂れたアパートに住む彼女は、殺害された長谷川茂典の元妻にあたる。
彼女が十六の時に結婚し、二十歳で離婚したそうだ。
飲み屋でホステスをしていると言う彼女は、今年三十になったばかりらしいが、その外見は年よりも若く見える。
「アイツは若い女が大好きな変態よ。十代の頃はチヤホヤされていたけど、二十歳になった途端に……ポイっよ!」
そう言って女は少し自嘲気味に笑った。
「とにかく、アイツが四十過ぎのオバサンと付き合うなんてありえない。……もういいでしょ?寝かせてよ。今日も仕事なの」
彼女はそれだけ言うと、乱暴に部屋のドアを閉めた。