僕はいつでもキミの傍に
滅多に無い休暇中、目的も無くフラフラと近所を散歩している時だった。
急に激しいブレーキ音が鳴り響き、次の瞬間には耳障りな衝突音が聞こえた。
少し離れた道路の端には中年の男性が一人横たわり、その少し先に一台の車が電柱にめり込む様に止まっていた。
男性は道路に横たわったままピクリとも動かない。
その傍に立ち尽くす様に、一人の少女の姿が見えた。
十歳ほどに見えるまだ幼い少女は、目の前で赤い血を流す男を真っ直ぐに見つめている。
道路には血の海が広がり、彼女の可愛らしい真っ白な靴を赤く染めていく。
……親子……か?
周りにも事故に気付いた人々が集まり、ざわざわと辺りがざわめく。
運転手の女性は無事だったのか、一人で運転席から降りその場に座り込んだ。
……パッと見ではそんなに深い傷はなさそうだ。
近くのカメラを持った野次馬の男性に救急車を呼ぶ様に頼むと、慌てて少女の傍に走り寄る。
すると近付く俺の気配に気付いたのか、少女はクリっとした可愛い瞳をこちらに向けた。