僕はいつでもキミの傍に
「私、貴方に何て言ったらいいのか分からない。私は……貴方のお父さんを……」
「いいよ……もう。それは親父が選んだ結果だ」
彼女の言葉を遮りそっと立ち上がると、空を見上げる。
さっきまであんなに赤く染まっていた空は今では漆黒の闇に覆われ、しかしその闇を照らす様にまん丸の満月が光っていた。
その次の瞬間、空に大きな華が咲いた。
それは眩い光を放ち、そして儚く消えて行く。
「……花火」
彼女は小さく呟くと、茫然とその美しい光景を見つめていた。
「そっか……今日は花火大会だったな」
毎年恒例の花火大会。
そんな事を思い出しながら、彼女と同じ様に空を見上げた。
断続的な爆音と共に、空に美しい華が咲き乱れる。
その幻想的な光景を眺めたまま、ふぅっと小さく息を吐いた。