僕はいつでもキミの傍に

「……行きますか」

そう言って彼女に向かってそっと手を差し伸べると、彼女は俺の手を見つめたまま困った様に笑った。

「貴方には助けられてばっかりだね」

彼女の言葉に首を傾げて見せると、彼女は俺の手をギュッと握りしめ立ち上がった。

「……ありがとう」

「それはさっき聞いた」

ニヤリと笑ってそう答えると、彼女は不思議そうに首を傾げる。

レンが最後に言った『ありがとう』

それが何のお礼なのかは俺には理解出来そうにも無い。

「これは……私の『ありがとう』だよ」

そう言って彼女がニッコリと笑った。

それはまるで空に輝く美しい月の様に、穏やかで優しい……そんな微笑みだった。
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