僕はいつでもキミの傍に
《レン》
それは彼女の中に存在するもう一人の人格で……つまり彼女は多重人格者と言う事らしい。
ハッキリ言って俺はその手の話は犯人の作り話が大半だと思っていたが……今回の事件でその考えをどうやら改めなくてはならないかもしれない。
その『レン』と言う少年の人格は、彼女が幼い頃受けた虐待により、彼女が自分を守る為に生み出した人格らしい。
彼女の悲しみや苦しみを全て受け止め、自分が傷付く事で彼女を守り続けていた。
彼女を守る為には手段を選ばない彼は、虐待を続けた柏木瑞穂の父親、柏木瑞穂の秘密を公表しようとした鈴村総一郎、また柏木瑞穂を売ろうとした長谷川と母親を殺害し、真実に辿りついた近藤、鈴村誠をも殺そうとしたらしい。
襲われたと言う鈴村誠はそう証言している。
それどころか今まで頑なに口を割らなかった楠綾子、それから近藤までもが口を揃えて同じ事を語った。
……信じがたい話だが。