僕はいつでもキミの傍に
「俺は君を……君達を赦そう。世界中の誰もが君達を赦さなくても、この俺だけは……この俺だけが君達を赦し続ける」
男はそう言うと、それからそっと……手を差し伸べる。
その懐かしくも感じる彼の大きな手から目を離せないまま、私の頬を溢れる様に涙が流れて行った。
「今度は君が守る番だろ?……守られるだけじゃない。共に生きる強さを……君は望んだのだから」
そう言って彼はニッコリと笑うと、小さく首を傾げて見せる。
「……す……ら…さ……」
震え擦れて聞き取れない声で彼を呼ぶと、彼はそれに答える様に深く頷いた。
「ほら、急がないと皆が待ちくたびれちまうぞ?」
その彼の言葉と共にそっと手を伸ばすと、彼の手に……そっと指先が触れた。
その瞬間、世界が静かに白い光に包まれ、見えなくなっていく。
彼の姿も……赤い空も。
全てが圧倒的な白に包まれ、見えなくなっていった。
遠い昔に《彼》が……そして《私》が取る事の出来なかったその大きな手をきつく握り締めたまま、そっと目を閉じる。
「……それじゃあな!俺のバカ息子によろしく!!」
その彼の場違いな程に明るい別れの言葉に笑みを浮かべると、私の唇が微かに動く。
それが小さく言葉を紡ぐと、白い世界の中に……彼の照れた様な笑い声が聞こえた様な気がした。