僕はいつでもキミの傍に
「……何が目的だ?」
どうやら尾行に気付いていたらしい彼らは、角を曲がってすぐの所に身を隠していたみたいだった。
この怒っているように見えるイケメン青年が、慌てて後を追ってきた俺の胸倉を掴んで壁に叩きつけてくれたらしい。
その彼の後ろで女の子が二人、不安そうに俺達を見つめていた。
「……何の事ですか?」
シラッととぼけて返すと、男は表情を更に険しくした。
「とぼけるな。喫茶店から出てきた所からずっとつけてきただろ」
イケメン青年のその言葉にクスクスと笑って見せる。
「素人のくせに、ずいぶんと勘が鋭いんだな?」
そう言ってニヤリと笑うと、イケメン青年の手に更に力が入った。
「何が目的だ?」
青年が声のトーンを低くして、もう一度同じ質問をする。
……さて、どうしますか。
心の中でそう呟くと、そっと黒髪の少女の方を向いた。
少女は不安そうに瞳を揺らし、怯えた様に俺を見つめている。
「俺はあんたに用事があるんだ」
そう言って柏木瑞穂にニヤッと笑いかけると、彼女は少し目を見開いて一歩後ずさる。