僕はいつでもキミの傍に

「鈴村探偵事務所所長……鈴村 誠」

青年が小さく名刺の文字を呟くと、それにウンウンと深く頷いて返す。

「俺、探偵なんだ。っていっても普段は浮気調査とか、ペットの捜索ぐらいの仕事しかしてないんだけど」

そう言って笑うと、青年は訝しげな顔をして…… そっと胸倉を掴んでいた手を放した。

「ずいぶん若く見えるけど?」

少し離れた場所から茶髪の女の子が問いかける。

「今年で22」

そうそっけなく答えると、真っ直ぐに柏木瑞穂を見つめた。
< 46 / 289 >

この作品をシェア

pagetop