僕はいつでもキミの傍に
9 古川 義之

「古川さん、検死の結果でました」

そう言って近藤が少し小走りで近寄ってきた。

灰色のデスクに腰かけ、煙草を銜えたまま書類を受け取る。

「死亡推定時刻は……死体発見日の午前7~10時の間……か。ずいぶん広いな」

検死結果が記載された書類を眺め、小さく息を吐く。

「……暑かったですからね」

近藤がポリポリと頭を掻きながら、自分の手帳をパラパラと捲った。

「柏木瑞穂は学校に行く7時45分にはまだ母親が生きていたと証言しています。その後長谷川が訪問し、そして何者かに殺された……って事ですかね?」

近藤は困った様に首を傾げる。

「指紋も毛髪も体液も……大した痕跡も見つからないし、知能犯かもしれませんね」

近藤のその言葉にまた小さく息を吐くと、手にした書類をデスクに投げた。

「さて……どうしたもんかね」

そう呟いた時……ピリリリと甲高い電子音が辺りに響いた。
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