僕はいつでもキミの傍に
11 楠 綾子

「急に電話なんか掛けてごめんなさい」

そう言って正面の席に座る……近藤さんに笑いかけると、彼は少し険しい顔をして私を見た。

「僕の番号は何で……」

「瑞穂に渡した名刺の番号を見て」

近藤さんが話す途中でそう答えると、近藤さんは辺りをキョロキョロと見回した。

昼時でも夕食時でもない夕方のファミレスはガラガラで、私たちの席の周りには誰もいない。

「……それで、犯人を知ってるって言ってたけど……本当?」

彼のその問いにコクリと小さく頷いて見せると、彼は少し目を見開いて私との距離を詰めた。

「正確には容疑者『候補』ですけどね」

そう言って笑うと、近藤さんが首を傾げて見せる。

「今日、瑞穂を襲ったっていう灰色のジャンパーの男が現れたんです」

私のその言葉に近藤さんは驚いた顔をして、ごくりと喉を鳴らした。

「……これを」

そう言ってテーブルの上にそっと……名刺を置いた。
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