僕はいつでもキミの傍に

「じゃあね~!また明日!」

そう言って綾子が手を振ってY字の交差路を左に進んで行く。

「うん」

同じ様に手を振り、自分の家へと続く右の道を進み始める。

綾子の家と私の家はこの道を挟んで分かれている。

距離的にはあまり離れていないので、お互いの家まで徒歩五分という所だ。

綾子とはいつもこの交差路で待ち合わせをしたり、別れる事になる。

……もうすぐ夏休みか。今年はバイトでもしようかな。

そんな事を考えながら、大分暗くなってきた道を黙々と歩き続ける。

すると不意に、後ろから誰かの気配を感じた。

……誰?

この道の突き当たりに自分の家があるが、その先に道は無い。

この道を通るのはこの通りに住む人か、郵便配達の人くらいしかいないはずだった。

そっと後ろを振り返ると、この暑い中……灰色のジャンパーを着た男が電柱の陰からこちらを覗いていた。
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