僕はいつでもキミの傍に

「さ、冷める前に食べよう」

その彼の言葉に促され、小さく手を合わせる。

「いただきます」

彼と声を揃えてそう言うと、パクリとオムライスを頬張った。

「美味しい~」

思わず歓喜の声を漏らすと、彼が嬉しそうに笑った。

彼は私がオムライスを頬張る姿を満足そうに眺めながら、グラスに麦茶を注いでくれた。

「ありがとう」

そうお礼を言ったその時、テレビの画面に美しい青が横切った。

それを見てアナウンサーの女性が声を上げる。

綺麗な……まるで深い海の様なマリンブルー。

その美しい青い羽をはばたかせ、蝶々は華麗に飛んでいく。

……青い蝶。

飛んでいく青い蝶を見つめたまま、頭には違う映像が流れる。

あの時の……男の子。

左の脇腹に蝶のタトゥーが彫られていた。

……あの子は一体誰?

《レン》って誰なんだろう。

……どうして、あんな光景が見えたの?
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