僕はいつでもキミの傍に
15 近藤 健一
プルルルという電子音を聞きながら、『彼』が電話に出るのを待つ。
その間も体中に緊張からくる冷や汗が滲み出し、服を不快に湿らせた。
「……もしもし?」
携帯のスピーカーから聞こえた声に、ごくりと息を呑む。
「あ、あの、すみません。こちらは……鈴村誠さんの携帯でよろしいでしょうか」
「……はい、そうですが?」
かしこまった俺の応対に、彼は少し訝しげにそう答えた。
「どちらさまですか?」
彼の少し冷たい問い掛けに、もう一度ごくりと息を呑んでから口を開く。
「……近藤です」
「……はい?」
「近藤……健一です」
そう小さく答えた瞬間、彼がグッと息を呑んだのが分かった。