僕はいつでもキミの傍に
……何?
私の視線を感じたのか、灰色の男はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
途端に体中に冷汗が滲み、制服を不快に湿らせた。
頭の中ではけたたましい警戒音が鳴り響き、迫りくる危険を訴え続ける。
……変質者?……警察に……ううん……そんなことしたら……どうしよう……どうしよう……
そんな事を考えているうちにも、男はどんどん近付いてくる。
……逃げなくちゃ!
急に浮かんだ提案に体が瞬時に反応し、男に背を向け走り出した。
「……待て!」
後ろから男の声が聞こえたが、無視して全力疾走で走り続ける。
……あの人何なの!?怖い!!
何とか家の玄関まで走り、急いでドアノブを回す。
……しかしドアは開かなかった。
「どうして開かないのよ!!」
気が動転し、開かないドアノブに苛立つようにドアノブをガチャガチャと回し続ける。
……鍵!!
急に思い立った様に持っていたカバンから鍵を取り出し鍵穴に差し込む。
男が追って来ているのか確かめたかったが、怖くて後ろは振り返れない。
震える手で何とか鍵を開け、家の中へと飛び込んだ。
すぐにドアを閉め、鍵を掛ける。