僕はいつでもキミの傍に
16 柏木 瑞穂
何故……私は走っているのだろうか。
降りしきる雨の中、漠然と考え続ける。
雨を吸った服がとても重く感じ、どんなに懸命に走っても前に進めない感覚に陥る。
ハァハァと呼吸は次第に荒くなり、心臓は壊れそうな程鼓動を速めていた。
……気付いたら彼の家を飛び出していた。
何故そんな事をしてしまったのか……自分でも分からない。
でもただ怖くて怖くて堪らなかった。
……彼の事が。