僕はいつでもキミの傍に
「……大丈…夫か?」
息を切らせたまま横にしゃがみ込む彼女に問いかけると、彼女はそっと顔を上げ頷いて見せた。
「……手」
彼女の小さな呟きに思わず目を見開き、ずっと掴んだままだった手をそっと放した。
「……どうして」
彼女がまた小さく呟き、俺を困惑した瞳で見つめた。
……どうしてこんな事をしたのか。
多分彼女はそう聞きたいんだと思う。
「いや、なんか逃げてたから。……捕まったらマズイのかと思って」
そう言ってニヤリと笑って見せると、彼女は困った様に表情を曇らせた。
それから暫く電車の不規則な揺れを感じながら……沈黙が続いた。
彼女は小さく身を竦め、窓から見える漆黒の空を不安そうに眺めていた。