僕はいつでもキミの傍に

「……お、俺?」

自分を指差したまま驚いた顔を見せると、彼がウンウンと深く頷いて返す。

簡単に今日あった事を説明する。

……今日の夕方、楠綾子に呼び出された事。

その時、彼の名刺を受取った事。

彼とは面識があったので、少し驚いた事。

彼に連絡を取った事。

そして……今に至る事。

俺が淡々と話す言葉を、彼女は少し困惑したように瞳を揺らして聞いていた。

……恐らく楠綾子の名前が出てきたせいだろう。

「……どうして……綾子が?私……何も……」

彼女が声を震わせ呟く。

「彼女は君が心配だったみたいだよ。君が凄く辛そうで……だから鈴村君をなんとかして欲しくて俺を呼んだらしい」

俺のその言葉に彼女は少し悲しそうに瞳を揺らして静かに俯いた。
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