僕はいつでもキミの傍に
「……泣くな。泣いてても何も変わんねェだろ」
そう言って彼はティッシュの箱をドンと彼女の前に置く。
「お前の話を聞かなくちゃ、俺達は何も出来ない」
その彼の言葉に彼女は涙を流したまま彼を見つめる。
その瞳はまるで彼を試すかの様に、ただ真っ直ぐに彼を捉え続けた。
「……私、誰を信じたらいいのか……分からなくて。皆、皆……何か隠してる。……怖いの。……怖くて仕方がないの」
彼女は擦れた声を必死に絞り出すように答え、怯えたようにカタカタと肩を震わせる。
その悲しい姿に……小さく胸が痛んだ。
彼女の心を……誰が理解出来るだろうか。
帰る家を、家族を失い……尚も足取りさえ掴めない犯人。
その存在がどれほど彼女を苦しめ、怯えさせているのだろう。
ギュッと強く膝を抱え泣き続ける彼女の姿は……酷く俺の心をざわめかせる。