僕はいつでもキミの傍に
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『……そうやって殺していくのか?柏木瑞穂にとって……邪魔なモノを』
美しい……まるで血の様に赤い空の下、そう言ってフェンスの先の彼が笑った。
夕焼けに照らされる……マンションの屋上。
あと一歩踏み出せば、僕は奈落の底へと落ちていく。
風が空気を切り裂く音を感じたまま、彼にニッコリと笑みを返した。
『それが……瑞穂を守る為なら』
その僕の答えに彼は少し悲しそうに目を伏せると、小さく首を横に振った。
『……俺にはそれで柏木瑞穂を守れるとは思えない』
そう言い切って見せた彼は、真っ直ぐに僕を見つめた。
彼の少し鋭い、まるで全てを見透かす様な瞳が、ただ真っ直ぐに僕を捉え続ける。
彼のその瞳と、空に広がる悲しい赤が……僕の胸を締め付けた。
空は一面、恐ろしいくらいに綺麗な赤に染まり……しかしそれは次第に深く暗い闇へと吸い込まれていく。