僕はいつでもキミの傍に
20 ?

『……そうやって殺していくのか?柏木瑞穂にとって……邪魔なモノを』

美しい……まるで血の様に赤い空の下、そう言ってフェンスの先の彼が笑った。

夕焼けに照らされる……マンションの屋上。

あと一歩踏み出せば、僕は奈落の底へと落ちていく。

風が空気を切り裂く音を感じたまま、彼にニッコリと笑みを返した。

『それが……瑞穂を守る為なら』

その僕の答えに彼は少し悲しそうに目を伏せると、小さく首を横に振った。

『……俺にはそれで柏木瑞穂を守れるとは思えない』

そう言い切って見せた彼は、真っ直ぐに僕を見つめた。

彼の少し鋭い、まるで全てを見透かす様な瞳が、ただ真っ直ぐに僕を捉え続ける。

彼のその瞳と、空に広がる悲しい赤が……僕の胸を締め付けた。

空は一面、恐ろしいくらいに綺麗な赤に染まり……しかしそれは次第に深く暗い闇へと吸い込まれていく。
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