僕はいつでもキミの傍に
『……ねぇ、鈴村さん』
赤い空を見上げたまま彼の名を呼ぶ。
『……どうして……こんな風になってしまったのかな?』
その囁くような僕の問いかけに彼は少し息を呑み、それからフェンスをよじ登って僕との距離を詰めた。
『それは柏木瑞穂のせいでも……そしてお前のせいでもない』
彼はまたそう言い切ると、切なそうに眉を顰め、僕に向かって手を差し伸べる。
差し出された彼の大きな手を見つめたまま……クスクスと笑った。
……初めて差し出された優しい大人の手。
……どんなに望んでも……決して手に入らなかったモノ。
『……やっぱりアナタはお人好しだ』
そう声を震わせ小さく呟くと……僕の頬を一筋だけ涙が伝った。