僕はいつでもキミの傍に
21 柏木 瑞穂

「お~い……起きろ~」

その言葉と共に肩を揺すられ……そっと目を開けた。

急に射し込んだ眩しい光に思わず目を細め、覚束ない視界の中、辺りを見回す。

ソファーと低いローテーブル。

それと何やらゴチャゴチャとしたファイルが数え切れないほど収まった棚。

それから……灰色のジャンパーを着た一人の男。

彼の姿を見た瞬間……昨日の出来事を思い出した。


私の手帳に書かれた気味の悪い文字の事。

その時見えた不思議な男の子の事。

青い蝶のタトゥーの事。

そのタトゥーが彼の脇腹にもあった事。

彼はそれを私には知られたくなかったと感じた事。

急に怖くなって家を飛び出した事。

他にも私のお母さんの事や長谷川さん、それから……綾子の事。

彼と付き合っている間の事。

……話せる事は何でも話した。

鈴村さんと近藤さんは何度も小さく頷きながら、黙って私の話を聞いてくれた。
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