僕はいつでもキミの傍に
「……彼が死んだのは自殺だって事になって。でも俺、聞いたんです。……彼が屋上に向かって何か叫んだのを」
そう言って近藤は何かに怯える様に、強く拳を握りしめる。
「……人が目の前で死んで、でもその人が本当はどうして死んだのかは分からない。もしかしたら殺されたのかもしれない。犯人がいるのかもしれない。犯人が見ていて……俺を殺しに来るかもしれない。でも……俺は何にも分からない」
近藤はギュッと拳を握りしめたまま、少し声を震わせて語り続ける。
「……怖かったんです。知らないという事が……物凄く怖かった」
その近藤の言葉に小さく頷いて返す。
「……だから、刑事になった……と」
俺のその言葉に近藤は深く頷き、それから顔を上げた。
「おかしいですかね。あるかも分からない事件の真相を知りたいという……そんな理由で刑事になるのは」
近藤は少し悲しそうに笑って俺を見つめた。
「……おかしくないさ。それに……」
そこまで言って、手にした名刺を見つめる。
……二つの事件は繋がっている。