誰も愛せない
不信
『ママ…
久しぶりやな…』
『えっ?…
…
ひょっとして…
白木君?…』
『あぁ。』
『出てきたんやね…
おめでとう…
店閉めるから待ってて…』
『客…
おらへんやん…
邪魔になったら帰るで、開けといてええよ』
『ええから…
座っとき…』
俺の顔を見ながら、ニッコリと微笑む…
本当に喜んでくれてるみたいだ…
『さぁ、何呑む?
昔と同じターキーのロック?』
『いや…
水で…』
『どしたん?
らしくないやんか…
せっかくの出所祝いやに…』
『ゴメン…
酒… やめたんだわ』
水を手にとる俺…
『ママ…
何で良美は笹本なんかについてったん?』
『… 実はね…
良美ちゃん… 前からしつこく誘われてて…
白木君が捕まった時に 食事に行ったらしいのね…
で、意外に紳士だったらしくて…
興味持っちゃったみたいで…』
パシッ
俺の持っているグラスにヒビが入ったのを見て
『でも、身体の関係は無いって…』
俺はママの言い訳の途中で席を立った…
結局 愛なんて無いんやな…
女なんか信用できへん…
女は道具やな…
俺の心は愛を封印した…