旅立ちの詞(うた)
第1話  ―ありがとう―
『裕?..(ユタカ)』

バスを待つ沈黙の時間
私は耐え切れず裕に話しかけた。

『ん?』

『あっち行ったらまず何すんの?』私なりに明るく振る舞った、

『そうだなぁ~とりあえずアパートでごろ寝だな、』
裕はいつもの用に笑いながら答えた。

『なにそれ~、裕はすぐ寝るんだから。』私も裕のいつもの笑顔を見て少しほっとして、笑った。

でも裕の笑顔を見たらどこかで何かがギュッと苦しくなった。

裕が地方行きを決める前
私たちは恋人だった。

でも今はただの友達。
それが私達がこれから先一緒に居る為の約束だから..

裕は私の、お互いの為だと別れを切り出して来た。
本当は納得なんか出来なくて、、私はどこかで何か期待していた、
それは今も。

< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop