愛図~言葉なんていらない~
愛図
「好きだ」
大学2年の夏。
前期試験を受ける直前の出来事だった。
必死に見ていたあたしの教科書を取り上げて、頬を赤くして呟いてくれたよね。
返事も聞かずに、風のように去っていって。
試験の結果がボロボロだったのを覚えてる。
先生もびっくりしてたっけ。
今まで話したことも数回程度だったのに。
こんなに動揺するなんて。
でも、今なら分かるよ。
あたしは、一瞬であなたに恋に落ちたんだって。
瞳から見えるすべてが、キラキラ輝き始めたから。