狂おしいほどに、恋の戯曲を



川崎さんが去って、マンションの前春日さんと二人きりになる。


「あ、」


さっきの状態でくっついていた体を思い出し、ぱっと離れた。



「あの・・・また来ちゃってすみません・・・。」


私がそう言うと、春日さんはクスッと笑った。



「!?
 な、なんかおかしかったですか!?」



「いや、そうじゃなくって…。
 また来てくれて、なんか嬉しいなって思ったんだ。」



「え……。あ、えっと、あの、携帯忘れちゃって……。」



「ああね。」



そう言って春日さんは一度私の足元に目を移したあと、
「ほんとにそれだけ?」
と、不敵に笑って付け足した。



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