狂おしいほどに、恋の戯曲を




「にしても、タクが居候をね〜?」



何か言いたげな瞳でジロジロと見られ、痺れを切らす。


「なんなんですか!!」



「いや、落ち着いてよ、ね?
あ、名前なんてーの?」



「由依です…。」



何だか上手いこと回避された気がしてならない。



「ゆいちゃんねー。
ゆいちゃんはさー、タクのこと好き?」


「ゲホッゲホッッ」


思わぬ質問に水を飲み損ねた。


意図せずほてる顔が、はいと言ってるようなものだ。



「スキ、かもしれないです…」



「タクは、ゆいちゃんのことスキとか言わねぇーの?」



「い、言うわけないじゃないですか!!!!
春日さんにとって私は…ただの居候ってゆうか…
家族だって言われました。
もっ、もちろん嬉しいですよっ?
ただ恋愛感情とかは…ないと思います……。」



やば、自分で言って悲しくなってきた。



「家族、ねえ。」




パスタはもうお皿から消えていた。

< 42 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop