狂おしいほどに、恋の戯曲を



「そ、それに春日さん…多分カノジョいるし…。」


尻すぼみになっていく言葉に、ああなんて馬鹿なこと言ってるんだろ、と泣きたくなった。




「タクの彼女?なんで多分?あったの?」


興味津々、というよりは疑問の表情で奏太が尋ねる。




「いや、会ったことはないですけど。一度寝ぼけた春日さんが゙みい゙って私のことを呼んだんですよ。」



「へー、ミイねー。前まではあいつユキにゾッコンだったんだけどな。」



軽い口調でそう漏らす奏太さんを思わず見つめた。


「え、な、な、」


「あれ、その感じだと何も聞いてねーの?」



にやっと楽しそうに笑う顔が見ずとも予測できた。

やっぱりモテるんだよね…。


「…わたし、ここ居て大丈夫ですかね?」



「んー、いいんじゃね。ユキもミイもここには来ないよ。会いに行こうと思えば俺が連れてってやるよ。」



何言ってんだこの男、そんな自爆行為出来るわけないじゃん!
「結構です。」と極力感情を込めずに伝えたが、分かりやすいねとかえって笑われてしまった。
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