狂おしいほどに、恋の戯曲を
疑念と思惑
「ただいまー!」
そういって久しぶりに家に響いた春日さんの声。
5日ぶりに見た春日さんは、髪の色が変わっていた。
前までは漆黒だった髪が、今は蜜色。
そんな春日さんが目に入った私は思わず黙りこくってしまった。
「えっ、やっぱコレ変?」
明るい頭を指し、不安そうな面持ちでそのまま髪をくしゃっといじりだした。
似合ってないわけない…似合いすぎてて…かっこよすぎて…思わず言葉を失ってしまったのだ。
でも私はこの二日間で決めた。
私はただの居候なんだし、変な期待とか、こんな気持ちとか、春日さんにとっては迷惑でしかないだろうから、居候は居候らしくするってこと。
「おかえりなさい。とっても似合ってると思いますよ。」
笑顔でそう言ったけど、ちょっと突き放すような言い方になっていたかもしれない。